2020年10月8日
学科トピックス

10/10-10/31 大坪晶先生 個展

「現代写真・映像工房」ご担当の大坪晶先生の個展が、大阪のブルームギャラリーにて開催されます。
「グレースケールで思考する」をテーマに、デジタル化した写真を素材とした新作のコラージュ作品が展示される予定です。
大阪にお出かけの際には、是非お立ち寄りください。
 
 
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大坪晶「Grayscale」
会期:2020年10月10日[土]−10月31日[土]
会場:BLOOM GALLERY(〒532-0025 大阪府大阪市淀川区新北野1-11-23 ハイム北野B103)
時間:水曜日から土曜日 13:00-19:00
*その他の日月火曜日はアポイントメント制
 
 
作品群は、収集した写真を、デジタル化しグレースケールに変換した上でコラージュしたものである。日本の、そして世界の歴史記録をグレースケールに均一化し、意訳、誤訳し、概念化の少し手前の状態で旋回し続けることで、見知らぬ歴史を身体化しようと試みている。
 
グレースケールについて
銀塩写真の多くは白黒写真、もしくはモノクロームと呼称されてきた。それに対して、近年デジタルイメージング処理で用いられる名称として「グレースケール」がある。グレースケールは、映像の明暗を8ビットや16ビットの単位に変換してグレーの階調としてモニター上に表示する。また、多くの白黒写真がグレーの階調で表わされている意味で、グレースケールは白黒写真をより技術的に正確に表した言葉であると言える。また、モノクロームという用語は、中世ラテン語のmonochrōmaからきており、単一の色で表された図像や写真を表す言葉であり、白黒、セピア、グレースケールなどを包括する言葉である。
近年、多くのメディア(媒体)で使用されるのはカラー映像であるが、色は時に私たちの認知を惑わすことがある。例えば、Webページ、印刷物が色彩があることによりオブジェクトの光の強弱が正しく認知できないことがある。そのため、一旦グレースケールに変換して明暗差を確認することで、色覚多様性に配慮した配色を検討したりする。また、カラー情報を画像処理ソフトで破棄することで、容易にグレースケールに変換することが可能である。デジタル処理による撮像への介入は、写真の物質性の喪失や図像の均質化というネガティブな側面が指摘されることがあるが、写真の特性の一つであるどこにでもへばり付き、時代に同質化してゆくアメーバ的特性がより強調されたということもできる。

大坪晶

(展覧会HPより転載)